京都言葉・大阪(船場)弁~標準語ではない方言の備忘録
ややこしい、ややこい。
この言葉を標準語と思っておりましたが、そうではないみたい。
ほかにも「わやくちゃ」「しょうもない」などなど。
一部地域でしか通用しない様子なのだけれど、これは京都限定の方言?標準語?
京都弁をチェック。
備忘録として記しておきます。
関西や京都の人は気をつけて。
その言葉、他では通じないかもしれません。
標準語と思っていたのに、どうやら元々関西の方言だった言葉
ややこしい
大きくは、複雑、混み入って面倒なこと、難しいことの意味ですよね。
元は嬰児(ややこ)=赤児からきた言葉だとか。
私は、取り扱いが難しい、煩わしい、怪しい、面倒くさいなどの意味でも使っていました。
ややこしい「人」と言えば、直接に嫌な奴、危険な奴と言わずに距離を取れる便利な言葉になり、ややこしい「文章」といえば、紛らわしくてわかりにくい文章を指すのですが、どうも全国区ではなかったよう。
日本国語大辞典によると、関西地方と中国地方で多く使われる方言のようです。
語尾も地域により少しずつ違って、ややこしい・ややこし・ややくしい・ややかしい、やいこしい、やえこしい、ややこい。やえこおしい…。
あー!ややこし。
方言としてのややこしい
◆面倒・煩わしい・うるさい
◆曖昧、紛らわしい
◆怪しい、うさんくさい
◆難しい
◆不安である
◆もどかしい、歯がゆい
◆だるくて気が進まない。ものうい。
◆混雑している
日本国語大辞典より一部引用
わや、わやく
「わや・わやく」は、おうわくする(枉惑する)が転じたものだそう。
おうわくする→わうわくする→わやく→わや(大言海より引用)
枉惑とは、人を惑わす、図々しい、ずるいといった意味。
京都の私は「わや」を無茶なこと、めちゃくちゃ、というニュアンスで使っています。
わや
(1)道理に合わないこと。無理を言ったりしたりすること。また、そのさま。無茶。非道。
(2)聞きわけがないこと。わがままであること。また、そのさま。
(3)悪ふざけをすること。いたずらをすること。冗談をすること。また、そのさま。
*ヰタ・セクスアリス〔1909〕〈森鴎外〉「それう持ってわやくをしちゃあいけんちふのに」
「わや・わやく」 日本国語大辞典より引用
そう、こういう意味で使っています。
「わや」を「ダメなこと」「悪ふざけ」という意味でも使うけれど、やんちゃな子供を諭すときのような、軽~い駄目に使います。
派生して、しわくちゃ、もみくちゃ、ぐちゃぐちゃ、めちゃくちゃを「わやくちゃ」。
「わや」も標準語だと思っていましたが、通じない人にはさっぱり通じないんです。
関東圏、特に東京の人にはほぼ通じない。
これも京都方言、関西限定か…と思いきや、ふとした会話で青森の人には通じて二度びっくり。
津軽人の彼もまた「わや」は津軽弁だよ?と、びっくりしてましたが。
青森では「すごい・超・めっちゃ」とか、「わあ」的なニュアンスで使うこともあるそうです。
なお、先に書いた「わやくちゃ(ごちゃごちゃ、滅茶苦茶)」は青森では「かちゃくちゃ」。
かちゃくちゃね(ない)で、ごちゃごちゃ、まどろっこしくい(イラっとする)という意味合いになるそうで。
「わやくちゃ」も「かやくちゃ」も、どちらも、ぐちゃぐちゃ感のある語感ではありますね。
えげつない
感情のない~冷たい、強烈な、よろしくない、という意味。
「えぐい」から変化したとか。
大阪では、露骨な、酷(むご)い、の意味にもなる。
北陸や四国でも使うのだとか。
標準語だと、「ひどい」という意味に。
料理の「えぐみ」と混同して標準語だと勘違いしていました。
えぐみ~渋み、アクが強い、えぐい味からの「えぐい」だと間違えていました。
えぐい、グロいについては、こちらの記事もぜひ参考にどうぞ
参考「えぐい・えぐいてぇ」や「グロい」の語源や元ネタ。使い方例付きで紹介します
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せわしない
忙しい、落ち着きがない、うるさい。の意味。
せわしないの「ない」は強調の「ない」で、忙(せわ)し+ない=忙しい(強調)
或いは、
世話し(せわしの未然形)+打ち消しの「ない」で、世話しない
ゴチャっとした忙しさ。
落ち着いていない様(さま)で使います。
「せわしないなぁ~」
ドラえもんに登場する、のび太の子孫の名が「セワシくん」。
のび太の「のびのび」に対して「せかせか」でセワシなのかな?と子供心に思ったものです。
そして、テレビのドラえもんに出てくるくらいだから、当然標準語と信じ込んでいました。
実家に帰省などした際に、挨拶もそこそこに遊びに出ようとしたりするとよく言われたものです。
しんど・しんどい
辛い、疲れたの意味。
心労・辛労からの転じて「しんど」になった。
これも、標準語だと勘違い。
わざわざイントネーションを変えて「しんどい」を東京で使っていました。
「しんどい」に似た言葉で「えらい」があります。
「えらい」も疲れたの意味ですが、とんでもない、たいへん、尊敬できる、といった複数の意味になります。
〇〇さんは、頑張っている←「えらい・なぁ~」のえらい。
「えろぅ」すんませんなぁ~のえらいは、京都弁だと思います。
大阪や兵庫の人からは、あまり聞いたことがない使い方なので。
えらい目にあった、えらいこっちゃ、の「えらい」=大変なという意味で広く使われますね。
しょうもない
仕様もない。
仕様は、物事を行なう方法や手段の意味。
仕様がない=しょうがない、は全国区で「なすすべがない」。
けれど「しょうもない」だと「くだらない、つまらない」の意味。
仕様もないから。
関西圏だと、面白くない。愚かな。価値のない。
仕様もないを訛って「しょうもない」。
これが関西弁、方言なら、標準語では書いた通り「しようもない」かな?
そう漠然と思い、「よ」をはっきりと発音していたら、「しょうもない」以上に、まったく通じませんでした。
それこそ、しょうもな。と若い子に言われてしまいそうです。
ちんちくりん
小さいこと、背の低い事、の意味。
親しみを込めて使うこともありますが、揶揄してからかうようなニュアンスを含むこともみます。
背の小さいことから転じて、服の丈が短いこと、サイズが合わず小さい様子ををちんちくりんと言ったりもします。
同じ意味で「つんつるてん」という表現もありますが…方言以前に、もはや死語かもしれないですね。
「ちんちくりん」は関西圏以外でも通じることがありますから、全国区の標準語なのかも。
たぶん大阪の人も使わなくなった船場言葉
ここからは、船場言葉に掘り下げてみましょう。
お昼によく行くお店から聞こえてくる大阪弁~たぶん連ドラで大阪の話をやっているのだと思う。
女性を呼ぶ時に使う小気味よくて、可愛らしい言葉がポンポンと。
意味はわかるが、古くなった大阪の人さえ使わないだろう言葉。
縁あって少し知っているので思い出しつつ残しておきます。
いとはん
お嬢さんの意味。
親からみて愛おしい・いとしい人。
良家の娘さんを「いとはん」、「いとちゃん」と呼びます。
商家の言葉。
「とうはん」も使う。
こいさん、こいちゃん
「小さな」+いとはん=こいとはん=こいとさん
末娘、小さな娘さん(お嬢さん)の意味。
なかいとはん、なかいとちゃん、なかんちゃん
真ん中のお嬢ちゃん、次女の意味。
あねいとさん~長女の意。
ちなみに男の子は、「ぼん」が長男。
こぼんさん、こぼんちゃん~子供や次男の意。
ごりょんさん、ごりょはん、ごりょさん
御寮人様から訛ったもの。
良家の妻、奥さん。
商家言葉、船場言葉。
お家さんから「おえさん」とも呼ぶ。
ちなみに夫は旦那さんから「だんさん」。
当主は、親旦那さんから「親だんさん」と呼ぶ。
まんまんちゃん、まんまんさん
幼児言葉
仏様、仏壇を示す言葉。
子供の前でお供えをしたり「阿弥陀佛」を唱える時に使う言葉。
まとめ
日常で気付いた、心に止めた関西の方言(京都弁と大阪弁)かしら?という言葉を書き留めて、方言辞典からの意味も添えておきました。
今では全国で通じそうな言葉もありますが、ややこし、わや、などは、関西圏~一部北陸や中国、九州地方で多く使われている方言のようですね。
船場言葉の「こいとちゃん」の呼び方は聞いたことがありますが「~はん」は無いかも。
ちゃん付けの呼び方は今でもあるかもしれません。
東京を含め、関西以外の場所にも住んでいたので、標準語と関西弁はきっちり分けて使えていると自認していた私。
気づかず関西弁丸出しだったと今になって気付くとは。トホホ。
今は京都市内の人間ではないので、京都の人間と書くと微妙ですが・・・。
染みついた記憶を頼りに記しました。
若干のニュアンスの違いはご容赦を。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。